ノアの子らの七つの戒律
善悪の意識が皆無な世界を想像してください。正義の観念も、法体系も、家族生活も、道徳・倫理感も全く無い世界。身の毛が
よだつように思われますか。少し
リアルにすぎるでしょうか。
そのような社会がかつて確かに存在しました。自己中心的で、強欲かつ残酷な世界は、4000年前に大洪水で自ら滅びました。
その死から、新しい世界が生まれ、ノアとその子らと共に始まりました。
神は生活の法として戒律を委ね、その上に新しい文明が建てられました。
この七つの基本法は、いつの時代の生活にも、その構造と視野が当てはまるほど、広汎な戒律です。それは人に、神の似姿としての自分、その秘められた最も大
いなる力を認識するよう導きます。
1. 神を信ぜよ
偶像礼拝の禁止
人、生きとし生けるものの内最も弱い存在は、自分よりもはるかに巨大な生と死の力によって取り巻かれています。
これらの普遍的な力を目の当たりにして自分を守り、その運命をより良くするため、人が”彼らに仕え”ようとすることも無理ありません。
しかしながら、生の本質は、森羅万象を創造した超越者を理解すること、すなわち彼を信じ、畏敬と愛をもってその戒律を受け入れることです。
彼が人の行為の全てを知り、善行に報い、邪悪を罰することを覚えなければなりません。私たちは彼に依存し、彼だけにその忠誠を負うています。
私たちを守り、私たちに必要な物を与えてくれるパワーが他にあるかも、と想像することは愚かであるだけでなく、生の目的をも堕落させるものです。歴史が示
してきた通り、それによって無数の邪悪な力が解き放たれ、私たち自身に、そして世界の中に沈潜するのです。
2. 神を信じ、讃えよ
みだりに神の名を唱えてはいけない
人生に失望し、物事がうまく行かない時、私たちはなんと容易に非難の指を向け、あらゆる人や物、神にすら責任を負わせるこ
とでしょう。
忠誠と信頼の心を持つことは、人生において至難のわざです。
神をとがめることは呪い。その名において他人を呪うことは不実な行為であり、涜神も同然です。それは、正しい社会が立脚すべき全ての秩序・安定の基盤を蝕
むのです。
3. 人間生活を尊重せよ 殺人の禁止
非人間的行為の最初の記録は、カインとアベルの物語でしょう。人は必ず、同胞と共に生きるのです。殺人の禁止令(堕胎を含
む)は、心の奥にある獣性から人
を守ることとなります。
人は攻撃者となれば、人間生活の尊厳を否定し、最後にはその似姿に創造した神をも攻撃するのです。
4. 家庭を尊重せよ 非道徳的な性行為の禁止
聖書伝承によれば、”人がひとりでいるのは良くない” とあります。そこで、神はアダムのために助け手を造られ、結婚にお
いて、”彼らを祝福した” ので
す。
健全な家庭があってこそ、人の創造性も意義深く発揮されるのです。
健全な家庭は、健康な共同体、諸民族、そして社会の隅の石です。
姦通、同性愛、男色、近親相姦-こうした不品行を大目に見た諸民族は、長く続くことが決してありませんでした。
性的不道徳は内面が腐敗した ”しるし” です。それは、無慈悲な社会を散乱させ、神の生命のプランに混乱をもたらすのです。
5. 他人の権利と財産を尊重せよ 盗みの禁止
私たちの生計は神に由来しています。故に、正直に品位をもって、それを得ようとすべきであり、間違った手段は許されませ
ん。
強盗・詐欺によって他人の財産を犯すことは、その人間性の根本を脅かす攻撃です。これはアナーキーを育て、人類を身勝手と残酷に投げ込むのです。
何よりも、この罪のため、世界の上に洪水がもたらされたのです。
6. 司法体系の創造 正義を追求せよ
公平に正義を司る、たくましく健康な法体系は、神が祝福するのにふさわしい社会を創造します。
法を維持・強化する裁判官、法廷、役人のシステムを樹立することは、大きな責任です。
この訓戒は、私たちの個人生活の理想を広く社会の通常の秩序に移植し、その全ての法を敷えん、保証するものです。
7. 生き物を大切にせよ
生きた動物の生肉を食べてはいけない
神は人に、”海の魚、空の鳥、地に這うもの全ての支配” を委ねました。
私たちは、神の被造物の管理人です。私たちの責任は最終的に、家族、そして社会すら超え、自然の世界に及びます。
生きた動物の生肉を食べることは、健康的かもしれませんが、残酷で、野蛮ですらあり、他者の痛みに無感覚な退廃した心を表します。
もし望むなら、この戒律は、他の六項がどれだけ遵守されているかを測る試金石たります。
人がその秘められた力を成就する時、全生き物は愛育、高められます。そして、行きつく先を悟ります。こうして、世界は美しい宝石-神が住むことのできる場
所に変わるのです。
ノアの子らの戒律とメシアの時代
近年、世界の偉大な指導者、ルバビッチのレベ、ラビ・メナヘム・M・シュネールソンは、”ノアの七つの戒律”の特質と意味
について、広く一般大衆に知らし
める努力をするよう勧めました。
これらの戒律は、全人類の倫理的・道徳的責任を概括し、理想的な状態に達しようと苦闘する世界にとって、真正の道標たります。
聖書学者によれば、この理想的状態は、メシアの来臨と共に達成されます。
メシア(文字通りだと
"油注がれし者")は、ユダヤ民族の教師、かつ指導者です。メシアは聖と学に満ち、ダビデ王朝の子孫です。メシアは、全人類に倫理と道徳性を教えます。き
わめて大事なことですがメシアは全世界に平和を確立するのです。
メシアの時代には、飢餓も戦争も無く、嫉妬も争いも消えます。人々は他人を助けようと骨折り、同胞愛の精神が花開くでしょう。
メシアの時代で最も重要なことは、全人類が神の遍在、宇宙の唯一の支配者を知覚することです。預言者イザヤが言う通り、"水が海をおおっているように、主
を知る知識が地に満ちる"のです。(イザヤ書11章9節)。
私たちは過去何ヶ月も、世界で起こった異常で奇跡的な事件の証人となりました。- 特に、ソ連とその衛星国の体制において、また湾岸戦争において。
私たちは事実、奇跡の時代に住んでいます。そして、"ノアの子らの戒律"への興味が世界中に増大することを念願しております。今や、長く待ちわびた
"あがない"の時の接近を暗に感じます。その時、世界は真に神の住まう所となることでしょう。
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